ASICつらいなぁ


もう数年以上前から言われ続けていることなのでしょうが、ASICビジネスは本当につらい。


ASICビジネスとはフルカスタムで顧客の要求するLSIを作り提供する。それに対してASSPビジネスは特定マーケットに独自仕様のLSIを作り提供する。 後者はIntelとかQualcommとかが代表。


以前はASICと言えば特別な機能を実現する花形というイメージがあったけど、今はその地位はずいぶんと落ちた。 仮にASSPがユニクロとかGAPとかの衣料メーカーだとしたら、ASICは大型量販店に収めるPB(プライベート・ブランド)を作る下請け業者という立ち位置になってしまっている。


日本には大手ASICメーカーが複数乱立していた。それは日本が家電業界の雄であったからだと考えている。 2007年度の半導体年間には主要半導体会社が日本だけで26社(うちASIC事業を行っているのが7社)も名を連ねているが、この2年でかなり様変わりした。 このままだと日本の大手ASICメーカーは1社だけになる可能性が十分ある。*1 この意味するところは非常に大きい。


今までみたいにコストぎりぎりでも対応してくれるASICメーカーは淘汰され、契約書が神様と考える海外企業とのお付き合いも増えてくるはず。 となるとコスト的・各種条件的(言語・ビジネス習慣など)にかなり有利な条件でモノづくりをしてきた日本家電メーカーは今まで通りの強さを発揮できるのだろうか? 


こういった状況では無理してLSIからモノ作りするよりも出来上がった箱を買ってきたほうが良いという判断が増えてくると予想される。*2 (→さらに日本でのASICの需要が減る(*_*;)



日本の家電がこの状況になるのは怖い。 しかしこの大きな流れは簡単に変える事ができるものではないと思う。 今考えるべきは、その時我々はどうあるべきなのかという事だろう。

*1:内製中心のPanasonicなどは除く

*2:すでに一部のテレビとかその状態にある