日の丸半導体 大連立から読み解ける事


産業の米も最終章に入った様だ。



意外な事に半導体製造を行う会社は未だに20社ほど国内に残っている。イヒ!で知られる旭化成や、音楽機器で有名なYAMAHAなどもそれにあたる。


しかしながら大手半導体社の最終生き残りとしては東芝を除く全てが今回の合併会社に集結する事になる。


ここで一番重要なメッセージは、半導体産業そのものよりも家電メーカーを中心とする日本のエレクトロニクス産業の構造改革が求められるという事につきる。


日本の強みは、カスタムメイドのチップを格安で手に入れ、人的にも時間的にも大きなアドバンテージを得ながら世界と戦ってきた。これが故にスペック競争時代には大きな差別化を出す事ができたのだ。そしてそれを支えてきたのが日の丸半導体という構造。


この構造を下支えしてきた半導体社が崩れてきているのは、複合的な理由だと思われる。


1)格安でかつカスタム品を提供してきたため、汎用品を大量に提供するトレンドに乗り損ねた半導体社側の問題


2)得意のスペック競争ばかりで差別化を図るあまり、ユーザーの求める価値が大きく変わるトレンドに乗り損ねた家電メーカー側の問題


3)国内市場での競争だけでは勝ち抜くことができない国際化というトレンドに乗り損ねた両社の問題


そうでなくとも家電メーカーは追いこまれている。特に今回の合併ではパナソニックは大きな変化が求められるのであろう。


対するソニーはカスタムLSIを設計する部遂を温存したままの状態だ(半導体製造工場は一部を除き売却済み)。アセットライト戦略を先んじて行ったが段階的であった為、パナソニックに追いぬかれた格好になる。


さて、待ったなしの情態だ。いつの時代でもこれからの10年を考えるのは興味深い。