内観に行ってきた


先日内観に行ってきました。6泊7日で研修所にこもって自分を調べるという事に集中する一週間を過ごしてきました。きっかけは知り合いから内観の話を聞いて以来、時間に余裕ができたら是非挑戦してみたいと思っていたので。



結論から言ってしまうと、すばらしい一週間でした。


で、内観というのは何?と問われる時、今の私はこんな風に説明しています。

1.概略

だれしも自分の目線から世界を見ています。その目線で見ている限りは自分と他人を同じモノサシで比較することはできません。


同じモノサシで比べるには、絵にあるような目線で(あたかも鳥の目になったつもりで)世界と自分を合わせて眺めて見る必要があります。ただそれって普通の人が簡単にできるような事ではないですよね。



そこで、そのような目線から自分を知る方法を教えてくれるのが内観なんです。


ここで興味を持ってくれる人にはこんな補足説明を次にします。


2.脳の話
大きく分けると、間脳・旧皮質・新皮質に分ける事ができるそうです。

  • 間脳は、生命体としての基礎的な制御を行う部分(心臓・肺などを動かす)
  • 旧皮質は、動物全般発達している部分で欲望をつかさどる。
  • 新皮質は、ヒトがヒトたる所以とも言える部分で、知識など論理的思考をつかさどる。

旧・新皮質が死んでしまっても間脳だけで生きていられる、ただし脳死と呼ばれる状態で。


例えばタバコは体に悪いと分かっていても(←新皮質)吸いたい(←旧皮質)そこで一日一本なら影響ないだろう(←新皮質)とか、今日は特別な日だから(←新皮質)と理由をつけて旧皮質の欲望を肯定してしまう。

本当にダメだと心の底から思うと(←新皮質)体が受け付けなくなる(←間脳)ようになるそうだ。この一本を吸えば確実に死ぬと分かっていればどんな旧皮質の欲望も新皮質の理屈も通じない。間脳まで響いて吸いたい気持ちすらも押さえつけてしまうまでになる。


この間脳に響かせるというのは重要で、また響かせるほどに想うのは相当の苦労がいる。



3.幸せ得点
数学の点数と同じで人生の点数というのもあるそうで、40点取る人もいれば70点も取れる人もいる。これまた数学の問題と同じで、70点取れる人は40点の人がなぜ40点の問題で悩んでいるのか理解できない。また40点の人は70点の人が悩んでいる問題は気にならないし、気にしないほうが身の為。


興味深いのは40点の人と70点の人の共通点。双方共にどうやってあと1〜2ポイント伸ばそうかという事についてばかり日々悩んでいるということ。そしていかにすでに取得してしまったポイントについては日常生活で全く意識していないということ。(往々にして両者とも自分自身が不幸であると考えているケースが多い)

我々日本人で、毎日食事ができ・学校に進学でき・戦争のない生活を謳歌している事について毎日感謝している方は非常に少ないことでしょう。


かように自分自身について理解するというのは難しく、また自分を変えるのも難しい事なのだそうです。


で、具体的にはどういった事をするかというと…

4.他人の目からみた自分を知る為に、

  1. して頂いたこと
  2. してお返ししたこと
  3. 迷惑をかけてしまったこと


これを小学生の頃ぐらいから思い出すという作業を延々繰り返していきます。
例えば、「母親に対する小学1〜3年生の自分について上記3項目を調べる」という具合です。


ほんと、単純にこれの繰り返しなんです。


そして、最後に内観のゴールと最後のキメの言葉です。

5.内観のゴール
「何をしていても自分は楽しくて仕方がない」と、なるのがゴール。


6.誰しも人生に一度内観をする

事故などの突然死を除き、誰しも自分の死期を悟るそうです。人によって5時間前であったり5日前であったり5ヶ月前であったりとマチマチでしょうが。


そうなると皆決まって昔の事を思い出すそうで、必ずと言っていいぐらい「どこかにどうしても行かなければならない」とか「だれだれにどうしても伝えなければならない言葉がある」と考えるそうです。


まさにこれが内観であり、その効果なわけですね。


しかし残念ながら大抵の場合、残された時間が足りなかったり。ベッドから起き上がれる状態になかったり。かなり後悔をされるそうです。





人生最後の内観の前に、事前に一度でも内観を経験しておけばちょっと得した人生になるのではないか、と思いませんか?