3日目雑感:すべて人力

カンクン空港に降り立ち、ホテルまでの移動サービスを行う業者を見てあまりにも余剰要員が多くて驚いた。小型バス(9人乗り)数台でピストン輸送を行っているようだったが、顧客よりも案内要員の方が多い。従って一人あたりの仕事量もかなり軽めで皆リラックスムードでお喋りをしている。


私達は炎天下の中10分ほど待たされたのだが、急ぐそぶりもないし気遣うそぶりもない。ただ対応は非常にフレンドリーで下手糞な英語で一生懸命説明してくれた。まぁ悪い気はしないレベル。


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ホテルに着くとそこは自動ドア。しかし電動ではない。常に最低でも二人のドアマンがいてドアを開けてくれる(混雑時は3人以上いる)。その他に荷物の搬入要員はたくさんいて、チェックインやチェックアウトなどするお客のヘルプを行っている。


音楽も基本は生演奏。CDかラジオか何がしかの再生音楽を聴いたのはSPAでマッサージを受けている時にリラックスミュージックを流している時のみ。不必要な程に生演奏のオンパレード。


夕食時のダンサーも一階の大舞台だけでなく、2階席のお客用に小さいダンスホールを設けてそこでもダンサーが間近で踊ってくれる。


その他にも、、、ロビーに飾られる観葉植物の葉っぱを永遠に拭き続ける少女。プール監視員は日本の感覚から言えば3倍以上の配備。ホテル内のタオルサービス在中要員を各地に配備とまぁ枚挙に暇がない。


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これと同じことを日本やアメリカでやろうと思ったら人件費がかかりすぎて一泊10万円ぐらい獲られてしまうだろう。それよりも得意のハイテク設備で自動化して人員を1/10ぐらいに縮小するはずだ。ただリゾートという事を考えるとこの人力サービスは非常に大きな価値を産み出す。いわいる痒いところに手が届きまくるのだ。


そう。この人力サービスのおかげでわずらわしさは全くない。美しく広いホテル内は常に清潔にチリひとつ落ちていない。敷地内にあるプールやプライベート・ビーチから水着で戻ってくる多数の宿泊客がいるというのにも関わらずだ。


何か飲みたければビーチでもプール内でも好きな場所で好きな時に好きなものが飲み・食いできる。チャージはすべて部屋にできるので財布など不要だ。


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物価の高い東京やシリコンバレーに慣れ親しんだ人間からして、高いと思わせる価格ながらもこの品質の高いサービスには財布が緩む。不必要なほどのサービスに必要以上の対価を払う。ホテル経営という見地よりも国の雇用創造という見地からみて非常に優れたモデルだと関心した。


そして皆生き生きしている。その職業に誇りを持っているという訳ではなさそうだが、懸命に働いて少ないながらも対価を得る事ができる。そんな当たり前の生業こなしながら、当たり前の様に生きている。そんな人々が不思議と美しく生き生きと感じた。


意外とそのような人を日本でもシリコンバレーでも滅多に見かけないものだ。


何も急がず、妥当な仕事量を懸命にこなし、安定して生活をする。これが永遠に続くのであれば一番の幸せなのかな。。。と久しぶりに学生の頃良く考えていた幸福論が頭に蘇って来た一日でした。